81歳の現役デザイナー斎藤さん。「人生をきちんとおしまいにする」生き方が、これからの時代の「豊かさ」かもしれない。

強みを活かす

みなさん、こんにちは!らづビズ(木更津市ビジネスサポートセンター)です。
「人生100年時代」と言われますが、自分のキャリアや人生の「しまい方」について、考えたことはありますか?

今日は、らづビズがサポートさせていただいている、81歳の現役ファッションデザイナー・斎藤照子さんの「今」をご紹介します。その生き方が、私たちに「豊かに生きるってどういうこと?」を問いかけてくれる、とっても素敵なお話です。

斎藤さんの新しいYouTube動画が公開され、そこには「人生の整理」へと向かう、深く温かい景色が描かれていました。

支援のきっかけ:「77歳、もう一度ネット販売を」

斎藤さんとらづビズの出会いは2021年。斎藤さんが77歳の時でした。
「過去に諦めたネット販売を、もう一度やりたい」
その熱い思いを受け、アップサイクルデザイナーとしての再出発を一緒にお手伝いさせていただきました。

「創造的終活」という、新しいキャリアの形

81歳を迎えた今、斎藤さんの活動は「人生をきちんとおしまいにする」というテーマと結びついています。

これは、単なる「終活」や「断捨離」ではありません。
「持ってる生地を作品にして終わりにしようかな」
「残してもしょうがないし、なんか綺麗にしまいたい」
長年集めた膨大なヴィンテージデニムや生地。それらを「残り物」として遺すのではなく、自分の手で、得意な「作品」という形に変えて、社会に送り出す。
斎藤さんらしい、プロフェッショナルとしての「創造的終活」なのではと思います。

腱鞘炎になっても。ミシンは「相棒」

斎藤さんの作る作品は、20年〜50年前の古着デニムを何十本も使い、すべて手作業で結び合わせて生み出されます。デニムをほどく作業は、腱鞘炎になるほどの重労働です。

それでも「やっぱりこのミシンいじってる時が一番好き」と語る斎藤さん。
20年以上使っているミシンが一度壊れた時、「長いことありがとう」とお酒をあげて語りかけたら、再び動き出した…というエピソードも。

道具を「相棒」と呼び、労力を惜しまず、自分の手で価値を生み出し続ける。その姿は、まさに「現役」の職人そのものです。

「出しっぱなしにしない」という社会貢献

斎藤さんの「創造的終活」は、これからの社会のヒントに満ちています。

  • サステナビリティ(持続可能性)の実践
    廃棄されかねない素材(古着デニム)を、熟練の技術(アップサイクル)で、世界に一つの芸術品に変える。これは、最も美しく、人間的なサステナビリティの形の一つです。
  • 次世代への「責任」の果たし方
    「出しっぱなしにしない」という言葉。これは、自分が集めた資源や培った技術を、次の世代に「負債」として残すのではなく、「価値あるもの」として還元しきる、というプロの美意識です。
  • 作品を「嫁がせる」というレガシー
    斎藤さんは、我が子のように生み出した作品たちが誰かの手に渡ることを「とついでく」と表現します。自分の情熱が、時を超えて誰かの人生を笑顔にする。これ以上に温かいレガシーがあるでしょうか。

81歳が見る「人生の景色」

「若い頃は気づかなかった『空気の流れ』を感じるのが、今の楽しみ」
斎藤さんは動画でそう語ります。
時間に追われていた頃は「ただ涼しい」で終わっていた感覚が、今になって「不思議」な喜びへと変わった。

「一生が1日で終わるとしたら、今、私の見ている景色はどんな色をしているのだろうか」

年齢を重ねることを「衰え」ではなく「深化」と捉え、自分の技術と情熱で、人生を美しくデザインし続ける斎藤照子さん。
「きちんとおしまいにする」生き方。それは、最後まで社会とつながり、価値を生み出し続けるという、最高にクリエイティブで豊かなキャリアの後編なのかもしれません。
斎藤さんが今見ている人生の景色、ぜひ動画でご覧ください。

今回のYouTube動画:https://youtu.be/_qvO32UKXe4
前回のYouTube動画:https://x.gd/pfgkh
斎藤さんのWEBサイト:https://saitoushop.base.shop

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